空論記録

ピクセルアートを作っています

ドット絵師として急に色々ありすぎた2023年を振り返る

 

 

こんにちは。空論/秒です。

 

普段は背景のドット絵を描いています。

 

今回はドット絵アドベントカレンダー本家に記事を書かせていただきます。

 

adventar.org

 

 

裏ドットの方には2年間参加していましたが、本家は初めてです。

でも書く内容はもう申し込んだ時から決まっていました。

 

あまりに色々なことがありすぎた2023年についてです。

 

色々なことがありすぎて、かなり端折れるところは端折ったにも関わらずとんでもない文字数になってしまいました。

一体何字だったのかは最後に発表したいと思います。

 

ではどうぞ

 

 

2022年11月 

 

僕は一般的大学生のレールからドロップアウトしていた。

鬼のようにブラックだった部活動を2022年の夏に引退し、その後から数か月間、過労とストレス(?)による心身の不調で倒れ、大学にも行けなくなった。

実を言うとこの頃の記憶がほとんどないため、どんな日々だったのか今となってはわからないのだが。

 

しかし不思議なことに創作意欲だけはあった。

今となってはちょっと懐かしいが、タロットカード企画に絵を描いたり、

 

タロットカード「星」自分の理想に向かって進むという意味



いまだに僕の作品の中で一番反響の大きかった絵である、雪夜の踏切もこの頃の絵だ。

 

「雪夜の踏切」

 

僕は探していた。

 

もっと新しい何か。部活に明け暮れて失った自己を取り戻せる何かを。

 

そして僕は唐突にデザフェスに出展することを思い立ち、モケモさんに声をかけることになる。

 

モケモさんとは、ポップな人外キャラクターをドット絵で描きつつ3DCGを作ったり配信をしたりとにかくなんでもかんでもやっている創作バーサーカーの友人である。

 

 

 

何故モケモさんだったかと言えば、①VCで話したことがあった(僕は話したことある人がそう多くはない)、②呼べば来てくれそうだった(モケモさんはめちゃくちゃフッ軽なのだ)という大体その二つだ。

 

そしてモケモさんと通話し、その日のうちにもう一人誘うことに決まった。

 

週刊ワニ太郎さんである。

 

ワニ太郎さんとは、キュートで鮮やかなタッチでもふもふから爬虫類までありとあらゆるケモノを描き、しかも3Dアバターなども作っている創作ジャンキーの友人である。

 

 

 

かくして『どっとよろず屋』は結成された。

 

この時はまだ、5月のデザフェスに出ることだけを視野に入れていた。

 

このユニット結成により、とんでもない2023年になるとは思ってもいなかったのである。

 

 

 

2023年3月

年は明け、春休みとなり、デザフェス準備や他にも絵を細々と描いたりしつつ暮らしていた。

 

この頃僕にとって特筆すべき出来事がひとつあった。

m7kenjiさんにお会いしたことである。

 

m7kenjiさんとは……と説明するのもおこがましいようなすごい方である。

プロの映像作家としてピクセルアートを何年も作られている方だ。

 

 

 

そんな方に何故僕のような端くれ中の端くれがお会いできたのかと言えば、m7kenjiさんのアシスタントに応募したからである。

 

応募した時点では書類を出すだけだったため、まあダメなら落とされるだけだしなとそこまで迷わず応募に踏み切った。

まさか応募者全員とオンラインで面接をされるとは思っていなかったし、その後事務所まで会いに来ても良いと言ってくださるとは全く思っていなかったのである。

 

代官山の事務所まで一人で行った。

 

僕のようなものにも大変優しくしていただき、様々なことをご教授いただいた。

 

その中で特に印象深かったのは、「プロ作家は仕事で制作を行うため、必ずしも作りたいものが作れるとは限らない。作りたいものを作りたいなら、アマチュアでいたほうが良いこともある」という話である。

 

その頃の僕はプロを目指そうと思っていた……わけではないが、視野くらいには入っていたかもしれない。

しかしこの時の会話とその後色々考えた結果により、僕の指針は「作りたいものを作る」という方に徐々に定まって行くことになる。

 

2023年5月

 

5月20,21日の二日間にわたってデザインフェスタvol.57が開催された。

 

どっとよろず屋としてのデザフェス初出展である。

 

デザフェスというのは、ご存知の方も多いと思うが、東京ビッグサイトで行われる大規模なオリジナル作品即売会だ。

 

場所も規模もコミケと近しいが、雰囲気はかなり異なる。

オリジナル、つまり1次創作でないとダメな点や、イラスト以外にも立体、アクセサリー、服、ライブペイント、その他ありとあらゆるオリジナルグッズが販売されるのである。

 

僕が初めてデザフェスに言ったのは小5の時。

そこから大学生になるまでほぼ全部の回に来場者として参加した。

 

平たく言えば、僕の創作の原点である。

 

最初からデザフェスに出ることを目標にして創作を始めたわけではないが、漠然とあった夢がかなった瞬間だった。

 

しかし感慨に浸る暇もなく、直前までグッズ入稿と設営準備に明け暮れ、当日も誰も勝手がわかっていなかったためドタバタのままデザフェスは始まった。

 

今回販売したグッズは、アートブック、缶バッジ、ポストカード、ペーパークラフトである。

 

 

僕は主にポストカードと表紙の背景、あとはキャラデザの一部を担当した。

 

このデザフェスは初回だし、グループとしても個人としてもそんなに知名度があるでもないし、一日中暇になることを予想していた。

 

しかしその予想に反し、多くのドッターさんが見に来てくれ、また来場者の方もその場で立ち止まって作品を見てくれたり買ってくれたりしたのである。

 

やはりデザフェス全体からしてもドット絵は珍しい方で、ブースの雰囲気もあまり他と被らない感じだったので目を惹けたのかもしれない。

 

それにありきたりな感想だが、自分で作った作品が売れていくのをその場で見れるというのはとても楽しかった。

 

SNSでの評価とはまた違う、リアルタイムの良さがある。やはり数字より実感が湧くのだと思う。

 

2日目の夕方、売るものがあまりなくなってしまったのと、僕がその日のうちに新幹線で帰らなくてはならなかったため閉場の1時間前に我々のブースは撤収した。

 

その後の数十分、よろず屋の3人ともう一人フォロワーのドッターさんの4人で南館を見て回ったのだが、その時話していたのは「次回のデザフェスではこうしたい」という話だった。

 

特に話し合うでもなく自然と11月のデザフェスの出展もここで決まったのである。

 

2023年7月

 

デザフェス終了後、時折3人で集まって次回デザフェスについて話したりしながらのんびりと過ごしていた。

 

この頃の僕は興味が絵から立体へと移り、フィギュアを作ったりそれを塗装したりして過ごしていた。

 

 

このあたりの絵が全くないのはそのためである。

 

 

しかしそこへ1通のDM が来た。

 

「THE PIXEL STREET」出展のお誘いである。

 

差出人のインターネットエデンさんは、後にわかることだが、THE PIXEL STREETの作家人事担当だった。

 

インターネットエデンさんと言えば『ドットレカ』という、3枚のレイヤーに分かれたドット絵を半透明のカード状にし、組み合わせて遊んだり飾ったりできるという画期的なドット絵グッズを作っている方である。

 

 

 

僕もドットレカの第二弾に寄稿しその時にお世話になっていたし、そのつながりによって先述のデザフェスでもお会いしたのである。

 

ドット絵を描いている方は大勢いるものの、グッズを作って即売会で売るなどの活動をしている人はそう多くはない。

 

よろず屋のようなインディーズにも今回出展枠が回ってきたのは、おそらくその珍しいグッズ制作をしているドッター集団だったからである。

 

よろず屋は基本的に誘われたら全部行く人間の集まりなので、大した話し合いもなく二つ返事で出展決定した。

 

この時点ではまだ、このイベントの凄まじさについて理解していなかったのである。

 

 

2023年9月

 

僕は帰省し、関東の実家に戻っていた。

 

何故この時期の帰省にしたかと言えばShibuya Pixelart(通称シブピク)のイベントに参加するためである。

 

シブピクに関してはドッターには説明不要に思えるが、ざっくり言うとピクセルアート界の大規模なイベントである。

例年は展示に加えてコンテストが開催されておりそのイメージの方がよく知られていると思うが、今年は諸事情でコンテストが開催されず、その代わり展示が複数箇所で開催され、チップチューンイベントも同時開催された。

 

そこになんと「出展アーティスト」として僕の名前が載った。

 

 

何故かというと、これは前述のドットレカのためである。

 

シブピクの1展示としてドットレカ展が開催され、そこに寄稿していた僕も出展アーティストの端くれとなったのだ。

 

さすがにこれはラッキーすぎて、今年はちょっとラッキーだけで事が運びすぎでは……?と若干不安になったが、乗れる波には全部乗っておこうということで、出展アーティスト限定のイベントなどにも参加させていただいた。

 

イベント初日はチップチューンのDJイベントがあり、そこで数多くのドッターさんにお会いした。

 

また僕はDJイベントなるものを初めて見たので、それも楽しかった。

 

印象深いのはヘルミッペさんのライブドローイングである。

 

何度もTwitterで見ていた「ヘルミッペさんの絵」が、目の前で、スマホ1台によって出来上がっていくのは本当に凄かった。

 

その次の日、僕は朝から渋谷にいた。

シブピクの展示を見て回るためである。

 

同じくドットレカつながりであり、普段Discordなどで面識のある数人のドッターと一緒に渋谷の展示を見て回った。

 

 

そのあと原宿に移動して知り合いのクリエイターさんが参加しているグループ展をみたりシブピクの展示を見たり、

 

 

最後は出展アーティストの懇親会に参加した。

 

 

その後流れで焼き肉もした。

 

 

 

そのさらに10日ほど後、僕はまた渋谷に来ていた。

今度はドットレカ展の設営を手伝うためである。

 

ドットレカ展は各アーティストの紹介ポスターが貼られ、その上にカードの実物が磁石で貼られているという、この上なくセンスが良い展示方法だった。

 

 

設営の手伝いの時は少し高校の文化祭を思い出した。

 

その後ドットレカ展の開場を見届けたのち我々は幕張メッセ東京ゲームショウを見、渋谷に戻ってきてクロージングセレモニーに参加した。

 

 

相当端折ったが結局のところ、シブピクもほぼ全部参加し尽くしたのである。

 

ここで面識ができたドッターの方々は数知れない。

2022年までは対面で会ったことのあるドッターが0人だったことを考えると、とんでもないことである。

 

2023年10月

 

10月20日、僕は新幹線の中で必死にステッカーを切っていた。

次の日に迫ったTHE PIXEL STREET(以下ピクスト)で配布するステッカーがまだ全然切り終わっていなかったのである。

 

 

5月のデザフェスの時の直前のドタバタから大して何も学ぶことなく、今回もまた準備は直前であった。

 

THE PIXEL STREETはAPO+さん主催の、今年初めて開催されたドット絵オンリーのイベントである。

 

朝8時、ピクストの会場である浅草橋ヒューリックホールに向かうともうすでに会場は出来上がっていた。

思っていたより広く、綺麗な会場だった。

 

そして何より、どこを見渡しても知っている(一方的に)ドッターさんばかりである。

レジェンド(と勝手に思っている)の方々や、普段TLで頻繁に見かける方、ドットレカつながりの方、憧れのドッター、ありとあらゆる人が集結していた。

 

この時点ですでに場違い感を覚えないではなかったが、せっかく来たのにビビッていては話にならない。

 

自分がこの場に立つのにふさわしいとは言い難いにせよ、一度きりかもしれないこの機会を楽しまないわけにはいかないのだった。

 

ブース設営はデザフェスの時よりも上手くなっており、かなり目立つブースにはなったと思う。

 

 

今回販売したのはアートブック(デザフェスで売ったものと新刊)、缶バッジ、ペーパークラフト、ポストカード、そして僕が7月頃に成形塗装していたフィギュアである。

 

 

ピクストは今回が初開催だったこともあり、どれくらいの来場者があるか全くわからないとされていたが、開場前には待機列ができ、途中には入場制限がかかるほどの人出だった。

 

よろず屋のブースも常に誰かが商品を見てくれたり買ってくれたりする状態で、大盛況だったと言っていいはずだ。

 

夕方ごろになってようやくどこのブースも手が空き始め、出展者同士で買い物が出来る余裕が出たのだが、その時にはもう全部完売してしまっているブースも少なくなく、僕も色々と買い逃した。

 

余談だが、この日僕は誕生日であり、事前にそのことをTwitterで言ったところ大勢の人に祝ってもらえた。

確実に今までの誕生日で一番多くの人に祝ってもらったと思う。

 

知り合いのドッターさんだけでなく、普段一方的に見てるだけだと思っていた方々からも祝ってもらえたのはとても嬉しかった。

 

祝ってくれた方々にはゆめかわ室外機ステッカーをプレゼントさせていただいた。

 

 

ピクストは本当にあっという間に終わった。

その後会場内で簡易打ち上げがあり、途中まで参加したのち帰路についた。

 

ピクストが来年以降あるのかどうかはわからないし、呼ばれる確率に至ってはもっと低いと思うが、いつか自分が単独でも出展できるくらいになりたいと思ったのは事実である。

 

 

2023年11月

 

ピクストからわずかに2週間後、僕はまた新幹線に乗っていた。

 

ピクストの出展の誘いが来たのは7月で、つまり11月のデザフェス出展の申し込みよりも全然あとである。

 

そのため短いスパンでイベントに出まくることになった。

 

今回のデザフェスではブースの背面に壁を借り、さらには偶然中央に面した角のブースという、かなり良い立地だったので始まる前から期待が高まった。

 

設営は今年3回目ともなり、もう手慣れたもので一瞬で終わった。

 

5月のデザフェスでの手こずり具合から考えるとかなりの成長だ。

 

 

 

前回よりかなり多くの人がブース前で足を止めてくれ、多くのグッズが手元に渡っていった。

 

色々とドタバタしてやり残したことも多かった5月のデザフェスとは違い、今回はほとんど全部思った通り事が運び、一通りベストは尽くせたと思う。

 

そんなわけでデザフェスも終了し、次の5月のデザフェスはいったん見送るということで、怒涛の2023年は終了したのである。

 

 

あとがき

 

2023年、僕はドット絵師としては3年目、とはいえ3年目というほど上手くもなく、作品もそこまで多くは出せず、ただ細々と絵をTwitterにのせる日々でした。

 

いや、現在も別に何かすごいドッターへと進化したのかと言われれば、大してそんなことは無く、相変わらず作品数の少ない端くれドッターのままです。

 

しかし2022年までずっと一人で、もちろん誰とも対面で会ったりもせず絵を描いていた僕からすると、今のこの状況はちょっと信じがたいくらいです。

 

僕が今年1年こんなに色んな経験が出来たのは、ただ単に運が良かったのと、そのラッキーに対する瞬発力、交通費を稼ぐためにバイトを入れまくる気力、そして有り体ですが、周りの方々の協力によるものだと思っています(周りの人に恵まれたのも含めて運が良いとも言える)。

 

よろず屋の2人と各種イベントの主催者、運営の方には大変感謝しています。

 

来年はもっと絵も投稿して、イベントにも出て、もっと新しい景色を見たいと思っています。

 

約6200字読んでいただきありがとうございました。

 

空論/秒

 

 

おまけ

 

ポストカードに描いた絵

 

アートブックの絵①

 

アートブックの絵②

 

最近のお気に入り

 

あとpicrew(着せ替えメーカー)も作りました

picrew.me

 

遊んでみてね

 

今年は本家アドベントカレンダーに加えて、裏、端(端!?)の3会場あります。

界隈の盛り上がりを感じるね

 

adventar.org

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ありがとうございました。