空論記録

ピクセルアートを作っています

ドット絵師として急に色々ありすぎた2023年を振り返る

 

 

こんにちは。空論/秒です。

 

普段は背景のドット絵を描いています。

 

今回はドット絵アドベントカレンダー本家に記事を書かせていただきます。

 

adventar.org

 

 

裏ドットの方には2年間参加していましたが、本家は初めてです。

でも書く内容はもう申し込んだ時から決まっていました。

 

あまりに色々なことがありすぎた2023年についてです。

 

色々なことがありすぎて、かなり端折れるところは端折ったにも関わらずとんでもない文字数になってしまいました。

一体何字だったのかは最後に発表したいと思います。

 

ではどうぞ

 

 

2022年11月 

 

僕は一般的大学生のレールからドロップアウトしていた。

鬼のようにブラックだった部活動を2022年の夏に引退し、その後から数か月間、過労とストレス(?)による心身の不調で倒れ、大学にも行けなくなった。

実を言うとこの頃の記憶がほとんどないため、どんな日々だったのか今となってはわからないのだが。

 

しかし不思議なことに創作意欲だけはあった。

今となってはちょっと懐かしいが、タロットカード企画に絵を描いたり、

 

タロットカード「星」自分の理想に向かって進むという意味



いまだに僕の作品の中で一番反響の大きかった絵である、雪夜の踏切もこの頃の絵だ。

 

「雪夜の踏切」

 

僕は探していた。

 

もっと新しい何か。部活に明け暮れて失った自己を取り戻せる何かを。

 

そして僕は唐突にデザフェスに出展することを思い立ち、モケモさんに声をかけることになる。

 

モケモさんとは、ポップな人外キャラクターをドット絵で描きつつ3DCGを作ったり配信をしたりとにかくなんでもかんでもやっている創作バーサーカーの友人である。

 

 

 

何故モケモさんだったかと言えば、①VCで話したことがあった(僕は話したことある人がそう多くはない)、②呼べば来てくれそうだった(モケモさんはめちゃくちゃフッ軽なのだ)という大体その二つだ。

 

そしてモケモさんと通話し、その日のうちにもう一人誘うことに決まった。

 

週刊ワニ太郎さんである。

 

ワニ太郎さんとは、キュートで鮮やかなタッチでもふもふから爬虫類までありとあらゆるケモノを描き、しかも3Dアバターなども作っている創作ジャンキーの友人である。

 

 

 

かくして『どっとよろず屋』は結成された。

 

この時はまだ、5月のデザフェスに出ることだけを視野に入れていた。

 

このユニット結成により、とんでもない2023年になるとは思ってもいなかったのである。

 

 

 

2023年3月

年は明け、春休みとなり、デザフェス準備や他にも絵を細々と描いたりしつつ暮らしていた。

 

この頃僕にとって特筆すべき出来事がひとつあった。

m7kenjiさんにお会いしたことである。

 

m7kenjiさんとは……と説明するのもおこがましいようなすごい方である。

プロの映像作家としてピクセルアートを何年も作られている方だ。

 

 

 

そんな方に何故僕のような端くれ中の端くれがお会いできたのかと言えば、m7kenjiさんのアシスタントに応募したからである。

 

応募した時点では書類を出すだけだったため、まあダメなら落とされるだけだしなとそこまで迷わず応募に踏み切った。

まさか応募者全員とオンラインで面接をされるとは思っていなかったし、その後事務所まで会いに来ても良いと言ってくださるとは全く思っていなかったのである。

 

代官山の事務所まで一人で行った。

 

僕のようなものにも大変優しくしていただき、様々なことをご教授いただいた。

 

その中で特に印象深かったのは、「プロ作家は仕事で制作を行うため、必ずしも作りたいものが作れるとは限らない。作りたいものを作りたいなら、アマチュアでいたほうが良いこともある」という話である。

 

その頃の僕はプロを目指そうと思っていた……わけではないが、視野くらいには入っていたかもしれない。

しかしこの時の会話とその後色々考えた結果により、僕の指針は「作りたいものを作る」という方に徐々に定まって行くことになる。

 

2023年5月

 

5月20,21日の二日間にわたってデザインフェスタvol.57が開催された。

 

どっとよろず屋としてのデザフェス初出展である。

 

デザフェスというのは、ご存知の方も多いと思うが、東京ビッグサイトで行われる大規模なオリジナル作品即売会だ。

 

場所も規模もコミケと近しいが、雰囲気はかなり異なる。

オリジナル、つまり1次創作でないとダメな点や、イラスト以外にも立体、アクセサリー、服、ライブペイント、その他ありとあらゆるオリジナルグッズが販売されるのである。

 

僕が初めてデザフェスに言ったのは小5の時。

そこから大学生になるまでほぼ全部の回に来場者として参加した。

 

平たく言えば、僕の創作の原点である。

 

最初からデザフェスに出ることを目標にして創作を始めたわけではないが、漠然とあった夢がかなった瞬間だった。

 

しかし感慨に浸る暇もなく、直前までグッズ入稿と設営準備に明け暮れ、当日も誰も勝手がわかっていなかったためドタバタのままデザフェスは始まった。

 

今回販売したグッズは、アートブック、缶バッジ、ポストカード、ペーパークラフトである。

 

 

僕は主にポストカードと表紙の背景、あとはキャラデザの一部を担当した。

 

このデザフェスは初回だし、グループとしても個人としてもそんなに知名度があるでもないし、一日中暇になることを予想していた。

 

しかしその予想に反し、多くのドッターさんが見に来てくれ、また来場者の方もその場で立ち止まって作品を見てくれたり買ってくれたりしたのである。

 

やはりデザフェス全体からしてもドット絵は珍しい方で、ブースの雰囲気もあまり他と被らない感じだったので目を惹けたのかもしれない。

 

それにありきたりな感想だが、自分で作った作品が売れていくのをその場で見れるというのはとても楽しかった。

 

SNSでの評価とはまた違う、リアルタイムの良さがある。やはり数字より実感が湧くのだと思う。

 

2日目の夕方、売るものがあまりなくなってしまったのと、僕がその日のうちに新幹線で帰らなくてはならなかったため閉場の1時間前に我々のブースは撤収した。

 

その後の数十分、よろず屋の3人ともう一人フォロワーのドッターさんの4人で南館を見て回ったのだが、その時話していたのは「次回のデザフェスではこうしたい」という話だった。

 

特に話し合うでもなく自然と11月のデザフェスの出展もここで決まったのである。

 

2023年7月

 

デザフェス終了後、時折3人で集まって次回デザフェスについて話したりしながらのんびりと過ごしていた。

 

この頃の僕は興味が絵から立体へと移り、フィギュアを作ったりそれを塗装したりして過ごしていた。

 

 

このあたりの絵が全くないのはそのためである。

 

 

しかしそこへ1通のDM が来た。

 

「THE PIXEL STREET」出展のお誘いである。

 

差出人のインターネットエデンさんは、後にわかることだが、THE PIXEL STREETの作家人事担当だった。

 

インターネットエデンさんと言えば『ドットレカ』という、3枚のレイヤーに分かれたドット絵を半透明のカード状にし、組み合わせて遊んだり飾ったりできるという画期的なドット絵グッズを作っている方である。

 

 

 

僕もドットレカの第二弾に寄稿しその時にお世話になっていたし、そのつながりによって先述のデザフェスでもお会いしたのである。

 

ドット絵を描いている方は大勢いるものの、グッズを作って即売会で売るなどの活動をしている人はそう多くはない。

 

よろず屋のようなインディーズにも今回出展枠が回ってきたのは、おそらくその珍しいグッズ制作をしているドッター集団だったからである。

 

よろず屋は基本的に誘われたら全部行く人間の集まりなので、大した話し合いもなく二つ返事で出展決定した。

 

この時点ではまだ、このイベントの凄まじさについて理解していなかったのである。

 

 

2023年9月

 

僕は帰省し、関東の実家に戻っていた。

 

何故この時期の帰省にしたかと言えばShibuya Pixelart(通称シブピク)のイベントに参加するためである。

 

シブピクに関してはドッターには説明不要に思えるが、ざっくり言うとピクセルアート界の大規模なイベントである。

例年は展示に加えてコンテストが開催されておりそのイメージの方がよく知られていると思うが、今年は諸事情でコンテストが開催されず、その代わり展示が複数箇所で開催され、チップチューンイベントも同時開催された。

 

そこになんと「出展アーティスト」として僕の名前が載った。

 

 

何故かというと、これは前述のドットレカのためである。

 

シブピクの1展示としてドットレカ展が開催され、そこに寄稿していた僕も出展アーティストの端くれとなったのだ。

 

さすがにこれはラッキーすぎて、今年はちょっとラッキーだけで事が運びすぎでは……?と若干不安になったが、乗れる波には全部乗っておこうということで、出展アーティスト限定のイベントなどにも参加させていただいた。

 

イベント初日はチップチューンのDJイベントがあり、そこで数多くのドッターさんにお会いした。

 

また僕はDJイベントなるものを初めて見たので、それも楽しかった。

 

印象深いのはヘルミッペさんのライブドローイングである。

 

何度もTwitterで見ていた「ヘルミッペさんの絵」が、目の前で、スマホ1台によって出来上がっていくのは本当に凄かった。

 

その次の日、僕は朝から渋谷にいた。

シブピクの展示を見て回るためである。

 

同じくドットレカつながりであり、普段Discordなどで面識のある数人のドッターと一緒に渋谷の展示を見て回った。

 

 

そのあと原宿に移動して知り合いのクリエイターさんが参加しているグループ展をみたりシブピクの展示を見たり、

 

 

最後は出展アーティストの懇親会に参加した。

 

 

その後流れで焼き肉もした。

 

 

 

そのさらに10日ほど後、僕はまた渋谷に来ていた。

今度はドットレカ展の設営を手伝うためである。

 

ドットレカ展は各アーティストの紹介ポスターが貼られ、その上にカードの実物が磁石で貼られているという、この上なくセンスが良い展示方法だった。

 

 

設営の手伝いの時は少し高校の文化祭を思い出した。

 

その後ドットレカ展の開場を見届けたのち我々は幕張メッセ東京ゲームショウを見、渋谷に戻ってきてクロージングセレモニーに参加した。

 

 

相当端折ったが結局のところ、シブピクもほぼ全部参加し尽くしたのである。

 

ここで面識ができたドッターの方々は数知れない。

2022年までは対面で会ったことのあるドッターが0人だったことを考えると、とんでもないことである。

 

2023年10月

 

10月20日、僕は新幹線の中で必死にステッカーを切っていた。

次の日に迫ったTHE PIXEL STREET(以下ピクスト)で配布するステッカーがまだ全然切り終わっていなかったのである。

 

 

5月のデザフェスの時の直前のドタバタから大して何も学ぶことなく、今回もまた準備は直前であった。

 

THE PIXEL STREETはAPO+さん主催の、今年初めて開催されたドット絵オンリーのイベントである。

 

朝8時、ピクストの会場である浅草橋ヒューリックホールに向かうともうすでに会場は出来上がっていた。

思っていたより広く、綺麗な会場だった。

 

そして何より、どこを見渡しても知っている(一方的に)ドッターさんばかりである。

レジェンド(と勝手に思っている)の方々や、普段TLで頻繁に見かける方、ドットレカつながりの方、憧れのドッター、ありとあらゆる人が集結していた。

 

この時点ですでに場違い感を覚えないではなかったが、せっかく来たのにビビッていては話にならない。

 

自分がこの場に立つのにふさわしいとは言い難いにせよ、一度きりかもしれないこの機会を楽しまないわけにはいかないのだった。

 

ブース設営はデザフェスの時よりも上手くなっており、かなり目立つブースにはなったと思う。

 

 

今回販売したのはアートブック(デザフェスで売ったものと新刊)、缶バッジ、ペーパークラフト、ポストカード、そして僕が7月頃に成形塗装していたフィギュアである。

 

 

ピクストは今回が初開催だったこともあり、どれくらいの来場者があるか全くわからないとされていたが、開場前には待機列ができ、途中には入場制限がかかるほどの人出だった。

 

よろず屋のブースも常に誰かが商品を見てくれたり買ってくれたりする状態で、大盛況だったと言っていいはずだ。

 

夕方ごろになってようやくどこのブースも手が空き始め、出展者同士で買い物が出来る余裕が出たのだが、その時にはもう全部完売してしまっているブースも少なくなく、僕も色々と買い逃した。

 

余談だが、この日僕は誕生日であり、事前にそのことをTwitterで言ったところ大勢の人に祝ってもらえた。

確実に今までの誕生日で一番多くの人に祝ってもらったと思う。

 

知り合いのドッターさんだけでなく、普段一方的に見てるだけだと思っていた方々からも祝ってもらえたのはとても嬉しかった。

 

祝ってくれた方々にはゆめかわ室外機ステッカーをプレゼントさせていただいた。

 

 

ピクストは本当にあっという間に終わった。

その後会場内で簡易打ち上げがあり、途中まで参加したのち帰路についた。

 

ピクストが来年以降あるのかどうかはわからないし、呼ばれる確率に至ってはもっと低いと思うが、いつか自分が単独でも出展できるくらいになりたいと思ったのは事実である。

 

 

2023年11月

 

ピクストからわずかに2週間後、僕はまた新幹線に乗っていた。

 

ピクストの出展の誘いが来たのは7月で、つまり11月のデザフェス出展の申し込みよりも全然あとである。

 

そのため短いスパンでイベントに出まくることになった。

 

今回のデザフェスではブースの背面に壁を借り、さらには偶然中央に面した角のブースという、かなり良い立地だったので始まる前から期待が高まった。

 

設営は今年3回目ともなり、もう手慣れたもので一瞬で終わった。

 

5月のデザフェスでの手こずり具合から考えるとかなりの成長だ。

 

 

 

前回よりかなり多くの人がブース前で足を止めてくれ、多くのグッズが手元に渡っていった。

 

色々とドタバタしてやり残したことも多かった5月のデザフェスとは違い、今回はほとんど全部思った通り事が運び、一通りベストは尽くせたと思う。

 

そんなわけでデザフェスも終了し、次の5月のデザフェスはいったん見送るということで、怒涛の2023年は終了したのである。

 

 

あとがき

 

2023年、僕はドット絵師としては3年目、とはいえ3年目というほど上手くもなく、作品もそこまで多くは出せず、ただ細々と絵をTwitterにのせる日々でした。

 

いや、現在も別に何かすごいドッターへと進化したのかと言われれば、大してそんなことは無く、相変わらず作品数の少ない端くれドッターのままです。

 

しかし2022年までずっと一人で、もちろん誰とも対面で会ったりもせず絵を描いていた僕からすると、今のこの状況はちょっと信じがたいくらいです。

 

僕が今年1年こんなに色んな経験が出来たのは、ただ単に運が良かったのと、そのラッキーに対する瞬発力、交通費を稼ぐためにバイトを入れまくる気力、そして有り体ですが、周りの方々の協力によるものだと思っています(周りの人に恵まれたのも含めて運が良いとも言える)。

 

よろず屋の2人と各種イベントの主催者、運営の方には大変感謝しています。

 

来年はもっと絵も投稿して、イベントにも出て、もっと新しい景色を見たいと思っています。

 

約6200字読んでいただきありがとうございました。

 

空論/秒

 

 

おまけ

 

ポストカードに描いた絵

 

アートブックの絵①

 

アートブックの絵②

 

最近のお気に入り

 

あとpicrew(着せ替えメーカー)も作りました

picrew.me

 

遊んでみてね

 

今年は本家アドベントカレンダーに加えて、裏、端(端!?)の3会場あります。

界隈の盛り上がりを感じるね

 

adventar.org

adventar.org

adventar.org

 

 

ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最短で上手くなりたい!!!(という願望)

こんにちは。空論/秒です。

 

みなさん!!最短で絵が上手くなりたいですよね?

 

\ナリターイ/

 

ではその方法をお教えします!!!

 

……と言いたいところなんですが、自分も別に大して上手くないので無理でした。

………

 

……


ですが、最短で絵が上手くなりたいという「願望」にもとづいてやってきたことやわかってきたことはあるので、それについて書きたいと思います。どちらかと言えば理論よりです。YouTubeなどで絵画講座をやっている先生方のように経験に基づいて何か言えるほど経験も画力もないからです。

 

また、この記事を読んでるのはほぼドッターだと思うので無用な心配ですが、一部、ドット絵にしか適用されなさそうな話があります。また、本気で絵を学んできた人にとっては多分カスみたいな内容です。あくまでエンジョイ勢向けです。まさに机上の空論……

 

本記事は二部構成です。最初に自分が普段意識している理論、次に絵が若干上手く見える小手先の技術について書きます。

 

 

 

1.理論のお話

 

(1)「上手さ」を定義する

 

絵の上手さって何でしょうね。

僕の現時点での答えは

「脳内イメージをなるべく忠実に出力できること」

だと思ってます。

 

みなさんも、構想時点ではめちゃくちゃ壮大でものすごい絵だったのに、描いてみたら全然違う!!しょぼすぎる!!ってなったことありませんか?

 

これは、ある人もない人もいると思います。個人的には構想よりすごいものを出すことはできないと思ってるので、「ない」という人がどうやって書いてるのかわからないですが、現に上手い絵描きの人に聞いても結構答えは分かれます

 

僕はしょっちゅうあるというか、ほぼ常にそうです。構想段階との差に首をかしげなかった絵は多分一個もないです。

構想段階ではすごい絵をイメージできていたのに、描くと全然違う。

これを解消する技術が絵の上手さだと思います。

 

これ以外にも絵の上手さの定義は人によってたくさんあると思います(無数にあるとは思いませんが)

自分の中でそれを決めておくことで、目指すべきところが定まって上達しやすくなる、と思っています……多分

 

考えたこともなかった!という人はぜひちょっと考えてみてください。何か変わるかも

 

 

(2)手癖を増やす

 

絵を描くとき、よく「手癖」でって言いますよね。この言葉は厳密な定義こそないですが、なんとなく絵描きであれば通じるんじゃないかと思います。

 

僕は手癖という言葉を「何も見なくても感覚的に描けること」と定義しています。

 

何も見なくても感覚で描ける、というのはそのものの描き方を理解できている、こととほぼ同義です。理解できているから感覚で描けるし、意識しないで出せるので絵の全体としてのクオリティが上がります(絵の細部全部に気を配るのは難しいため、手癖以外のところに注力できる)

 

この1年(ドット絵・創作歴ともに2年目)で一番感じたのは、描き方が理解できてないものは描けない、ということです。

 

当たり前のように聞こえるかもですが、描けるものと描き方がわかるものは微妙に違います。

特にドット絵では、描き方が分かっていないがなんとなくそれっぽく描ける、ということは良く起きます。ドットの粗さに甘えて細部を誤魔化せるからです。

 

もちろん、ドット絵である以上、要素の取捨選択が必要ですし、そこが醍醐味とも言えます。でも、描き方をわかったうえで省くのと最初からよくわからないで描いてるのは結構大違いだと最近気づきました。ドットにしたときにどこを落としこむかが変わってくるからです。

 

話がちょっとそれました。

 

自分の技術の中で、どこまで手癖で出せる範囲なのかよくわからない。意識して描いてるのか、しないで描いてるのか、自分でもよくわからない。そういうことはよくあると思います。

 

そこで個人的におすすめなのはワンドロをやってみることです。

 

みんな知ってると思いますが、ワンドロとはざっくり言えば、与えられたテーマに沿って1時間で絵を描くことです。

 

1時間しかないので手癖以上のことはほぼ出せません。自分の現状を把握するのにかなり良いなと感じています。

 

例えばこれは1年前くらいに描いたワンドロの絵です

 

天の川

今見るとあんま上手くはないな、と思います。

唯一良い点は星の光具合を色の明度で表してるところです。つまり、この時点で僕は少なくとも「1ドットで星を描く方法」は手癖に入ってたってことがわかります

 

これはワンドロの中でもかなり「上振れ」と言ってよいです。自分のワンドロの中では上手く描けてる方です。この絵は「雨の水滴が線になってる感じ」や「水たまりの反射と地面の反射を描き分ける」「雨が地面に落ちたところで波紋ができてる」などが手癖に入っていたため、トータルで上手いこと描けたんだと思います(比較的)。

 

あとは配色もド手癖ですね。空論と言えば、と言われてもいいほどよく使うブルーグレー(なんかオレンジよく使うイメージと言われることが多いけど)。あとはお得意(悪癖)の透過色多用。

 

逆にキャラクターの描き方はさっぱりわかってないため座り方がなんか変ですね。サイズ感も変だし。キャラに関してはまったく手癖外で上手く描けなかったというところですね

 

では手癖を増やすにはどうしたら良いのか

 

これは僕も知りたいですが、現時点でわかっている方法をかくと、

観察→描いてみる→描き方を覚えておく

これだけです。めっちゃシンプルですね

 

特に実物(写真でも良い)をよく観察することはかなり大事だと思います。ものでなくても、影の色、どこに反射が出来ているか、周りのものの映り込み具合、全体のバランス、など見るところはたくさんあります。

 

もっと他の良い方法あれば教えてください

 

このやり方は次の項目にもかなり関わってきます

 

 

(3)「描きたいものがある→情報を得る・練習をする」という順番を意識する

 

前半ラストです。

 

みなさんは絵を描くときに描き方の本とかサイトなどを見ますか?

 

僕は結構見ます。特に書籍に関しては現時点で手持ちが4冊あり、それ以外にも図書館で見たりなどします。また、好きな作家さんの画集も所持しています。

 

しかし、色々書籍や練習法等調べて思ったのが、

「やり方をインプットしてもすぐにアウトプットしないと意味ない」

ということです

 

これは、この記事のタイトルである「最速で」上手くなる、に大きく関わる話です。

 

書籍などから得られる情報は情報としては有益でも、それが役に立つかどうかはわからないことが多い、と僕は思います。

 

身に着けたことを役立てることが案外難しいのです。

 

そのため僕が提案する方法は、疑問や、これは描けないなというものが生じてから、その都度描き方やコツ・練習方法を調べる、というものです

 

そうすればすぐ使えますし、場合によっては手癖としてインプットできます。

 

漠然となんか描きたい、上手くなりたいと思って練習法や描き方を調べてそれをやり、さあ絵を描くぞ、というやり方には少し疑問があるというか、非効率では?と思っています

 

もちろん、何らかの練習法を極めた先に真の画力はあるのかもしれません。プロや、特に美大に行くような方は大体そういう道を辿ってきているでしょう。世の中の主流はそっちだと言っても良いです。

 

僕は素人なので、どちらが正しいのかわかりません。というか現時点で上手い人でも、どちらかのやり方しかやったことないはずなので厳密に比較はできないですね。

 

でも少なくともいえるのは、趣味絵師が手っ取り早く自分の描きたいものを描くには遠回りです、多分。僕はそう考えてます。

 

 

2.(小手先の)技術のお話

 

理論はこんなもんにしておいて、これからは絵が若干良く見えるようになる小手先の技術を紹介したいと思います。すぐ使える、簡単な話です。

というかどれも別に僕が発見したわけでもなんでもない良く知られた話ですが、個人的に役に立つなと思ったものをピックアップしました。

 

(1)無彩色を使わない

 

真っ黒、グレー、真っ白。これらの色を使いたいときに、完全な無彩色を使わないほうが、なんとなく絵が良い感じに見えます。これは何故かというと、

 

真っ黒、真っ白:絵に対して強すぎることが多い。現実世界にもなかなか存在しない

グレー:想像する「グレー」は無彩色に少し色を足すと再現できる。無彩色のままだと少し赤みがかって見える(これは僕だけかも)

 

からです。絵の雰囲気に合わせて何色を混ぜるか変えますが、大体水色を足せばよい感じです。オレンジでも良い時あります

 

(2)合ったツールを使う

 

みなさん、ドット絵何で描いてますか?僕はメインでペンタブ、たまにスマホでした。ラフは驚くべきことに、つい最近まであんまり描いてませんでした。

 

これが最近になって、色々あって液タブを使うようになったんですね

 

そしたら画力が爆上がり(当社比)しました

 

定量的に言えることとしては、描く速度はマジであがりました。

いままでペンタブでペンの先端と実際に描いてる位置が違う、またはスマホで長い線を思った通りに描けない、これが地味にストレスだったんですね

 

そして液タブを使うことで、ペンタブでは難しくて描けなかったアナログのラフが描けるようになり、これにより画力が上乗せされました。

 

今はフォトショでラフを描き、色も決めてから、そのままフォトショでドットに起こしています

 

もうペンタブには戻れません。この液タブ借り物なんですが、絶対お金貯めて買います。フォトショも借り物なんだよな……

 

液タブを使うことで、線が思った通りに引けます。まるで紙に描くようにドット絵が描けるんですね。これは最高です

 

合ったツールを使うのが良いねってことです

 

 

(3)透過色を使う

 

透過色を使いすぎるのは僕の悪癖なんですが、透過=悪ではなく、ほどほどに使えば絵にとって非常に有用です。

 

透過色が有用なのは特に、「透けてるものの表現」「影色」です。

 

透けてるものを透過で描くのは当たり前なので、影色について述べます。

 

影の色は光の色によって決まります。影色をどうやって描くかは人によっていくつかパターンがあり、おおまかには

  1. 影部分のもともとの色に無彩色を混ぜた色(明度を下げた色)を使う
  2. 影部分のもともとの色の色相を動かし、より「濃い」色にした色を使う
  3. 影部分のもともとの色をまず塗り、上から透過色で影色を重ねる

この3パターンです。

 

1番は一般にあまりやらないほうが良いとされてますね。これをやると絵がなんか黒っぽくなります。澄んだ感じも出にくいので僕はあんまりやらないです

 

2番はオーソドックスなやり方です。特にドット絵師はこのやり方が多いと思いますし、僕も普通に使います。色数を制限したいときに使い勝手が良いのもこの方法です

 

3番が僕が提案したい方法です。この方法もメリットとデメリットがあります

 

メリット

・影を後から描けるので、色塗りの際とりあえず固有色(影関係ないそのもの自体の色)だけ意識すれば良くなる

・光の色に合わせて影を塗るので、絵の雰囲気が作りやすい。シンプルに上手くも見えやすい。

・配色の統一感を出しやすい。簡単に色をまとめやすい

 

デメリット

・使いすぎると無限に色数が増えていく。そしてドット絵感が薄れていく

・「あとで透過で上から塗れば良いか」と色選びが雑になり、結果変な絵になる

・透過がないと絵が描けなくなるキャー

 

デメリットは全部気を付ければ防げるので、普通は大丈夫でしょう。

dotpictにもこの前透過が実装されたのでぜひやってみてください

 

透過に頼りすぎにもほどがある、最近のワンドロ

 

(4)パースを厳密に取りすぎない

 

現実のものって、実は意外とパースが厳密にはなっていません。何故かというと、人の目は魚眼レンズであり、さらに世の中の物はそこまで厳密な平行、垂直を作っていないからです。

 

パースのかかった絵を描くとき、消失点を作りますよね。

 

そして、物の「辺」を延長した線が消失点でぴったり重なるようにする。

 

これがおおまかな描き方だと思います。

 

これでも全然良いのですが、より自然に、見て違和感のない絵にするためには、あえて消失点を「点」ではなくざっくりとした「円」で取り、その円の中に辺を伸ばした線が入ってればよいことにする、というやり方が有効です。

 

消失点どうこうよりも、引きで見て違和感のない線を探してそこに引く、というのも良いです。

 

これも多分有名な話ですが、僕は最近まで知らなかったです。ぜひやってみてください

 

 

 

これにて空論/秒の、最速で上手くなる(はずの)考察は終了です。

僕は2年前までアナログ絵すら描いたことなく、いきなりドットをはじめました。技術は全然まだまだですが、常に上手くなる効率は意識しています。

 

来年の記事ではどれくらい言えることが増えてるでしょうか

 

もっと精進してまいりますので、ぜひこれからも僕の絵を見てくださったら、嬉しいです。

 

空論/秒

 

 

 

 

ドット絵初めてすぐの頃(2年前)に描いたハロウィンの絵

 

今年の絵。実は2年前と同じモチーフを描いてる

 

☆裏ドット絵アドベントカレンダー

この記事は裏ドット絵アドベントカレンダーのために描かれた記事です。

adventar.org

 

フクDさん、また、表のドット絵アドベントカレンダーの主催であるMuscatさん、ありがとうございました。

 

ドット絵での『光』の表現の試行錯誤

こんにちは。空論/秒です

普段はドット絵を描いています

 

本記事は「ドット絵アドベントカレンダー」に参加しています

adventar.org

 

さて

今回は自分が今まで描いてきたドット絵の、「光の表現」を試行錯誤した結果分かったことについて書こうと思っています。

ただ、「こう描くと良いですよ」と指南できるほどの画力ではないので、「こう描いています」という報告にとどめます。また、神絵師の方々からすると「そんなの当たり前だが……」という内容かと思いますが、どうか許してください

 

 

夜景のテクニック

最初に描いた夜景の絵がこれです

 

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この絵は昔すぎて最早twitterにすらあげてないな

 

これはそのあとに描いた夜景です

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今はサブ垢のヘッダーになってる

 

さらにそのあとに描いた夜景

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この絵は描き途中なので一部です。

 

最初の絵でも十分夜のビル群であることは認識できる(と思う)のですが、下の2つのほうがリアリティはあるかと思います

 

あくまで独自調べですが、夜景をそれっぽく書くには以下のポイントがあると思います

  1. ビルの内部の明かりはオレンジ系or白系(白い光の亜種として水色系)
  2. ビルの上には赤いライト(航空障害灯)がある
  3. ビル自体は周りの空より暗い

まず1ですが、ビルの光はオレンジか白だとそれっぽいです。光はオレンジ、黄色で2色プラス白で3色使って描くのが良い気がします
しかし光も1パターンだと単調なので自分は白と水色の組み合わせも使います

 

2は、これは夜景を一気にそれっぽく見せる魔法のテクニックだと思っています。これを描くのがとても楽しい。単調な夜景に良いアクセントになります。飛行機やヘリコプターがビルを認識するためのライトのようです

 

3は実際の夜景を観察するとわかりますが、夜空というのは意外にも明るいのです。相対的にビルは空より暗いことが多い。これは視点の周りの光源にもよりますが、遠景のビルは大体暗いです。これも意識すると夜景がそれらしくなります

 

ライティングのテクニック

 

光を描くとなると一番考える必要があるのが、「物に光があたるとどうなるか」です。これに関してはまだ自分も全然わかってない部分ばかりですが、現時点で気にかけていることを書きます

 

1. 材質による光沢感の違い

 

これは主にハイライトの話です。ハイライトは、ハイライト自体をはっきり白っぽく描くほどつるつる系の材料、または金属になり、ハイライトを材料と同系の色でぼかすように描くとざらざら感のある素材になります。

これはもう絵を描く方なら一般常識レベルの話かもしれませんね。

 

しかしドット絵ではこれが余計重要になると思います。荒いドットで質感を表現するのに使えるテクニックは、ハイライトと影の入れ方くらいしかないからです。通常の絵のようにブラシや塗り方を変えるってわけにはいきません。

 

実際の例を出すと、金属系のハイライトが入ってるのが例えばこれです

 

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メリーゴーランドの一部。この箇所気に入ってる……

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自販機。今思うと夜ばかり描くようになったきっかけの絵。

 

上の絵は馬車の縁取りの金色の金属に強いハイライトを多めに入れることで金属感を出しています。この絵はメリーゴーランドを描いた絵なんですが、メリーゴーランドは基本つるつるした素材しかないので強いハイライトが多めです。

 

下の絵は自販機のふちにハイライトを入れています

 

あとは、当たり前ですが光の強さによってもハイライトは変わります。ですが自分はハイライトによってそこがアクセントになるので強めに入れがちかもしれません

自分は無機物ばかり描いているので必然的に強めのハイライトが多いのかも……

 

2. 光源から出る光の描き方

 

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さっきの自販機です

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信号が回ってたら面白いと思った

 

上の絵では自販機、電柱、ブロック塀、地面に直接光が当たっている部分です。下の絵では動いている光ですね。このように、暗い場所で光が直に当たっている部分についてです。

 

強く、近く、暗い場所にある光は、「範囲が狭く」「周りとのグラデーションが起きにくい」という特徴があると思います

 

例えば自販機の絵では、電灯の明かりは電柱とすぐ近くの自販機には強く当たっていますが、地面にまで行くとあまり届いていません。反対側などは真っ暗です。

電灯やヘッドライト、懐中電灯などは、明るくなる範囲は意外と狭い気がします。

 

グラデーションになっていないというのは、「光の当たる部分」と「当たらない部分」の間に「中くらい光の当たる部分」はほとんどないということです

光源が弱い・遠い時や、明るい場所にある光ではこの限りではない気がします

 

下の信号機の絵を描いた時は部屋を暗くして懐中電灯で実験しましたが、暗い部分と明るい部分でグラデーションにはほとんどなっていませんでした。

 

また、グラデーションになっていないということは、暗い場所では「光がさしかかったときだけ急に明るく、光が去ると急に暗くなる」ということを意味します。これはアニメーションを書く上では重要な気がします

 

3. 影の入れ方

 

これは自分でもまだあまりよくわかっていない部分ですが現時点で使っているテクニックを書きます

 

基本的に影は黒ではなく影の入る部分の色を濃くした色が良いとはよく言われていますね。

さらに、「光の補色を半透明にし、影を付けたい部分に塗る」といい感じになります

 

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カルディです。狭くて良いよね

 

この絵ですが、影は半透明にした紫を影色として使っています。光がオレンジなので、影は紫にしました。

わかりやすいのは左側の段ボールに積み重なっている黄色い箱でしょうか

 

なお、この絵はAsepriteで描いているので影用のレイヤーモードに切り替えて塗っています。レイヤーのプロパティから普段は「Normal」になっている部分を切り替えると出来ます

 

この機能何故かネット上で詳しく言及している人がいないんですよね……。なので自分も割と最近知りました。

レイヤーモードを変更した場合は塗りたい影色を半透明にしなくてもそのまま上から重ねればよいです。勝手にいい感じになります。

 

この話と関連なのですが、影だけでなく絵に無彩色のグレーを使わないほうが良い感じになります。グレーを使いたい箇所にはちょっと青などを混ぜた色を使うといい気がします

 

4. 光にぼかしをかける

 

Asepriteには色をぼかすという便利機能があります。

右端のツールアイコンが並んでいる部分の一番下、クリックしてでるアイコンの左側、「Blur tool 」です

これは隣同士にある色の境目をぼかしてくれます。同一レイヤー内で無いとできません。ぼかしの強さは、ブラシの大きさによって変わります。ぼかしたときにできる色はパレット内から選ばれ、新たに生成されるわけではないため事前にグラデをパレット上に作っておくとよい気がします

 

これは光の周りのぼやけを表現するのに結構便利です。

 

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このように周りをぼかすとそれっぽくなります

 

5. 画像加工

 

鋭い方は気づいてると思うんですがこの店の絵は画像加工をかけています。これは私もこの絵で初めて使い、まだこの絵でしか使っていなので詳しいことは言えませんが、一点透視の絵の時は周辺減光と周辺ぼかしを入れると、ちょうど人間の目で見ているような感じになってリアリティが増す気がします

ドット絵に画像加工かけるのは賛否あると思うけど自分は作品自体が良くなるなら問題ないと思ってる

 

 

大体こんな感じです。

約1年のドット絵歴で学んだことや見つけたことは大体描きました。いや、これ以外にもアニメーションのEase-in Ease-out 、パースなど色々ありますがそれらは描くと長いのと、ネットに説明がたくさんある内容なので割愛します

 

自分の画力はまだまだな部分も多いですが、ドット絵を描くのは本当に楽しいです。これからも私の愛する夜の光を、絵にできたらなと思います。そのためにはこれからももっと試行錯誤していきたいです。

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

空論/秒

 

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